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数学Ⅲの複素数平面の等式の証明や不等式の証明はこうやる
複素数平面の等式の証明や不等式の証明がうまくできない、、
誰かやり方を教えてくれないかな、、
といった悩みに当サイト(数がく部)の管理人でありある医学部受験予備校の看板講師講師のuheiがお答えします。
数学IIの等式の証明、不等式の証明とやり方はそんなに変わらないですが複素数平面の知識も一緒に使って証明をします。
数学Ⅱの等式の証明と不等式の証明のやり方に関しては詳しく説明した記事を書いてますのでそれを読んで下さい。
具体的な問題を通して説明します。
複素数\(α\)が\(|α|=1\)を満たす時,\(|α-(1+i)|=|1-\overline{α}(1+i)|\)が成り立つことを示せ。ただし,\(\overline{α}\)は\(α\)と共役な複素数を表す。
証明する式にバーが入っている場合はやり方が少し変わる
等式の証明は複雑な式→簡単な式と考えると考えやすくなりますがこの問題の場合は両辺とも同じ感じの式です。
その場合は両辺を計算して同じ式になる事を示しますがこの問題には\(\overline{α}\)がありバーが入っている場合は(バーが付いている式)→(バーがない式)と式変形すると証明がやりやすくなります。
だから右辺を式変形して左辺の形にします。
右辺はバーがあって左辺はバーがないのでバーを取らないといけないので\(α\)と\(\overline{α}\)がない式をつながないといけないです。
複素数平面で絶対値がある時の使い方はこうする
問題文に\(|α|=1\)があったので両辺を2乗して\(α\overline{α}=|α|^2\)を使います。
\(α\overline{α}=|α|^2\)をどういう場面で使うかと使い方を説明した記事を書いてますので詳しくはそれを読んで下さい。
やってみる
\(|α|=1\)より\(|α|^2=1\)となり
\(α\overline{α}=|α|^2\)より\(α\overline{α}=1\)
よって\(\overline{α}=\frac{1}{α}\)となるので証明する式の右辺に代入して
\(|1-\overline{α}(1+i)|=|1-\frac{1}{α}(1+i)|\)となりこの式を通分します。
すると\(|1-\frac{1}{α}(1+i)|=|\frac{α-(1+i)}{α}|\)となり分母と分子に絶対値を振り分けます。
すると\(|1-\frac{1}{α}(1+i)|=\frac{|α-(1+i)|}{|α|}\)となります。
ここで\(|α|=1\)より\(\frac{|α-(1+i)|}{|α|}=\frac{|α-(1+i)|}{1}=|α-(1+i)|\)となりこの式は証明する式の右辺なので証明が完了しました。
地方国立大学の採点のやり方って気になりませんか?
解答を説明しながら書いていますが国立大学の採点のやり方って気になりませんか?
旧帝大みたいな偏差値が凄く高い所は採点基準はありますが地方国立大学の場合は恐らくないです。
私は大学、大学院が地方国立大学ですが自分の指導教官から採点について聞いていて「ここまで教えていいの?」っていう位採点のやり方を教えてくれて引きました。
採点のやり方を知らない受験生がほとんどのはずなので記事にしています。
次はこれです。
\(α,β,γ\)はいずれも0でない複素数として,次の各問に答えよ。ただし,複素数\(z\)については\(\overline{z}\)は\(z\)の共役複素数,\(|z|\)は\(z\)の絶対値を表す。
(1)\(\frac{α}{β}\)が正の実数ならば,\(|α+β|=|α|+|β|\)が成り立つことを示せ。
(2)\(γ+\overline{γ}=2|γ|\)が成り立つならば,\(γ\)は正の実数であることを示せ。
(1)もしも「\(\frac{α}{β}\)が実数」なら\(\frac{α}{β}=\overline{(\frac{α}{β})}\)ですが「正の実数」なのでそのまま置くしかないです。
だから\(\frac{α}{β}=k\)(kは正の実数)と置きます。
等式の条件式の使い方
この式は等式の条件式なので1文字消去します、このことについて記事を書いているので意味が分からない場合は読んで下さい。
\(\frac{α}{β}=k\)より\(α=kβ\)とします。
証明する式ですが両辺とも同じ感じなので左辺と右辺をそれぞれ計算して同じになることを示します。
左辺
\(=|α+β|\)
\(=|kβ+β|\)
\(=|β(k+1)|\)
\(=|β||k+1|\)
\(=|β|(k+1)\)となります。
右辺
\(=|α|+|β|\)
\(=|kβ|+|β|\)
\(=|k||β|+|β|\)
\(=k|β|+|β|\)
\(=k(|β|+1)\)となります。
よって左辺=右辺となるので証明完了です。
条件が全然ないけどこんな時はこう考える
普通は前のカッコが次のカッコを解くためのヒントになっていますが明らかに使えないですよね。
こういう困った時は複素数平面の場合は複素数を起きます。
今回は\(γ=r(cosθ+isinθ)(r>0)\)と置きます。
このことについて詳しく説明した記事を書いていますので気になる人は読んでください。
条件式\(γ+\overline{γ}=2|γ|\)に\(γ=r(cosθ+isinθ)\)を代入して\(γ\)が正の実数になることを示します。
すると
\(r(cosθ+isinθ)+\overline{r(cosθ+isinθ)}=2r\)・・・①(\(|γ|=r\)より)
\(\overline{r(cosθ+isinθ)}\)を式変形して\(r(cosθ-isinθ)\)になります。
よって①は\(r(cosθ+isinθ)+r(cosθ-isinθ)=2r\)となりまとめると
\(2rcosθ=2r\)となり\(r≠0\)より\(cosθ=1\)なので\(θ=0\)
よって\(γ=r(cosθ+isinθ)\)に代入して\(γ=r\)なので証明完了です。
次は複素数平面での不等式の証明
α,βを複素数とする時\(\displaystyle |\frac{α-β}{1-\overline{α}β}|<1(|α|<1,|β|<1)\)が成り立つことを示せ。
分数じゃない方が不等式の証明をしやすいので分数じゃなくするためにこうします。
\(\displaystyle \frac{|α-β|}{|1-\overline{α}β|}<1\)
\(|α-β|<|1-\overline{α}β|\)・・・①
問題文に絶対値がある
絶対値があるので両辺を2乗します。
\(|α-β|^2<|1-\overline{α}β|^2\)・・・②となりこの式を証明します。
\(|1-\overline{α}β|^2-|α-β|^2>0\)として左辺\(>0\)を示します。
\(|1-\overline{α}β|^2-|α-β|^2\)
\(=(1-\overline{α}β)\overline{(1-\overline{α}β)}-(α-β)\overline{(α-β)}\)
この式をただ式変形してまとめます。
すると\(1+α\overline{α}β\overline{β}-α\overline{α}-β\overline{β}\)となりこの式を因数分解します、何を考えて因数分解しようと思ったのは不等式の証明の記事に書いてあります。
\(α\overline{α}(β\overline{β}-1)-(β\overline{β}-1)\)
\(=(β\overline{β}-1)(α\overline{α}-1)\)
\(=(|β|^2-1)(|α|^2-1)\)
この式は\(|β|<1,|α|<1\)より0より小さくなるので②は成り立ちます。
よって①は成り立ちます。
等式の証明、不等式の証明は最近は全然出題されてなく今後出題の度合いが上がる可能性があるのでしっかりできるようにしましょう。
説明を終わります。