等式の証明で左辺と右辺を計算しないといけないタイプ
このタイプは問題を見てはっきり分かります。
\(a+b+c+d=0\)のとき,次の等式を証明せよ。
\(a^3+b^3+c^3+d^3\)
\(=3(a+d)(b+d)(c+d)\)・・・(✳︎)
両辺が同じ感じの式になっている
左辺と右辺を見比べた時にどっちが複雑か分からないですよね、どっちも同じ感じの式に見えると思います。
こういう時は右辺と左辺の両方の式を式変形して一致させることで証明します。
\(a+b+c+d=0+\)から\(a=-b-c-d\)となり左辺の式変形からします。
\(a^3+b^3+c^3+d^3\)
\(=(-b-c-d)^3+b^3+c^3+d^3\)となります。
文字が3種類以上ある時の展開はこうする
\((-b-c-d)^3\)の式変形ですが多項定理を使って展開するのは面倒ですよね。(意味が分からなかったら気にしなくていいです)
これは知識として知っておいて欲しいのですが文字が3種類以上ある時の展開はどれか1つの文字の式として展開してください。
どういうことかというと
\((-b-c-d)^3=-(b+c+d)^3\)
\(=-\{b+(c+d)\}^3\)として「b」と「c+d」の2つと見て展開をします。
よって\(-\{b+(c+d)\}^3+b^3+c^3+d^3\)
=\(-\{b^3+3b^2(c+d)+3b(c+d)^2+(c+d)^3\}\)
\(+b^3+c^3+d^3\)
展開して\(-3b^2(c+d)-3b(c+d)^2-3c^2d-3cd^2\)となります。
右辺が因数分解された形なので因数分解をします。
\(-3b^2(c+d)-3b(c+d)^2-3c^2d-3cd^2\)
\(=-3b^2(c+d)-3b(c+d)^2-3cd(c+d)\)
\(=-3(c+d)\{b^2+(c+d)b+cd\}\)
\(=-3(c+d)(b+c)(b+d)\)
次は\(a=-b-c-d\)を使って右辺の計算をします。
\(3(a+d)(b+d)(c+d)\)
\(=3(-b-c-d+d)(b+d)(c+d)\)
\(=3(-b-c)(b+d)(c+d)\)
よって右辺と左辺が同じ式になり証明が完了しました。
次はこれです。
\(a+b+c≠0,abc≠0\)を満たす実数\(a,b,c\)が
(A)\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=\frac{1}{a+b+c}\)
を満たしている。このとき,任意の奇数\(n\)に対し
(B)\(\frac{1}{a^n}+\frac{1}{b^n}+\frac{1}{c^n}=\frac{1}{(a+b+c)^n}\)
が成立することを示せ。
等式の条件式の使い方の応用
等式の条件式があるので1文字消去を考えますが考え方が難しいので理解できなかったら無理せず飛ばしてください。
等式の条件式ですが今回は\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=\frac{1}{a+b+c}\)で複雑です。
等式の条件式が複雑な時はこう考えてください。
等式の条件式は1文字消去ですが1文字消去とは何をしているのでしょう?
例えば\(a+b+c=0\)から\(a=-b-c\)としますがこれはこういう風に見ることができるというのを例で説明します。
\(2x=x+1\)より\(x=1\)となり\(x\)に値を代入することができますがこれは\(x\)を消しているので1文字消去していることになりますよね?
\(2x=x+1\)より\(x=1\)にするのは式を解いています。
だから「1文字消去することは式を解いている」と見ることができます。
式を解く時は1次式じゃなかったら因数分解をよくしていますよね。
だから1文字消去をする時に式が複雑だったら因数分解すると思うと条件式が扱いやすくなります。
説明の意味が解らなかったら「複雑な条件式は因数分解する」と覚えても問題ありません。
証明スタート
それでは説明しながら問題を解いていきます。
\(\frac{1}{a}+\frac{1}{b}+\frac{1}{c}=\frac{1}{a+b+c}\)を因数分解するためにまず分数じゃない式にします。
両辺に\(abc(a+b+c)\)をかけて
\(bc(a+b+c)+ac(a+b+c)\)
\(+ab(a+b+c)=abc\)となりますが因数分解するために\(a\)の式と見て展開して次数が高い順に書きます。
因数分解のやり方について詳しく説明している記事を投稿していますのでそれを見てください。
\((b+c)a^2+(b^2+2bc+c^2)a+bc(b+c)\)
\(=0\)
\((b+c)a^2+(b+c)^2a+bc(b+c)=0\)
\((b+c)\{a^2+(b+c)a+bc\}=0\)より\((b+c)(a+b)(a+c)=0\)
よって\(b+c=0\)または\(a+b=0\)または\(a+c=0\)となり場合分けして証明します。
\((B)\)は両辺とも同じ感じの式なので両辺それぞれを式変形して同じになることを示します。
\(b+c=0\)のとき\(b=-c\)なので
\(\frac{1}{a^n}+\frac{1}{b^n}+\frac{1}{c^n}\)
\(=\frac{1}{a^n}+\frac{1}{(-c)^n}+\frac{1}{c^n}\)・・・①
ここで\(n\)は奇数なので\((-c)^n\)\(=-c^n\)となります。
意味が分からなかったらこう考える
この式変形が分からなかったら例えば\(n\)に3を代入してください。
\((-c)^3\)\(=-c^3\)が成り立ちますよね。
よって①は\(\frac{1}{a^n}-\frac{1}{c^n}+\frac{1}{c^n}\)
\(=\frac{1}{a^n}\)となります。
また
\(\frac{1}{(a+b+c)^n}\)
\(=\frac{1}{(a-c+c)^n}\)
\(=\frac{1}{a^n}\)
よって\((B)\)は成立します。
\(a+b=0\)と\(a+c=0\)の時は文字が違うだけでやることは全く同じですので「同様にして成り立つ」と解答に書けばいいです。
証明しても問題ないですが時間がもったいないのでするべきではありません。
両辺を計算して一致することを示すタイプはやることが単純でまず出題されることはないので2問解いておけば大丈夫だと思います。
今回説明しませんが(左辺)-(右辺)=0((右辺)-(左辺)=0)を示す問題もほぼ出題されないです。
複雑な式→簡単な式にする証明と両辺を式変形して同じ式になることを示す証明を見ている気がするのでそれを勉強した方が勉強のやり方として効率的だと思います。
最後は特殊な証明です。
考え方が見たことがない分野の問題に使えるかもしれないのでぜひ見て欲しいです。