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高校数学Ⅲの複素数平面の回転を使った問題の解き方の記事
複素数平面の回転だけど明らかに使う場面では使えるけどそうじゃない時に使うのがうまくできない。
どんな場面で使うのかを教えてくれないかな?
といった悩みに当サイト(数がく部)の管理人でありある医学部受験予備校の看板講師講師のuheiがお答えします。
複素数平面で回転がありますが使い所がいまいち分からない受験生がいて「こういう問題の時にも使うんじゃないかな?」と思って欲しいです。
私の印象では角度が分かる時にも使える印象です。
それでは具体的な問題で説明します。
複素数平面上で複素数α,βの表す点をそれぞれA,Bとするとき,△OABが正三角形であるための条件は
\(α≠0\)かつ\(α^2+β^2=αβ\)であることを証明せよ。ただし,Oは原点とする。
複素数平面の問題で角度がある
△OABが正三角形という事は1つの角度が\(\frac{π}{3}\)です、今は複素数平面なので回転で解けないか考えます。
問題文から簡単な図を書くと↓になります。
OAを回転してOBにすると考えます。
すると\(β=α・1\{cos(\pm\frac{π}{3})+isin(\pm\frac{π}{3})\}\)・・・①と式を書くことができます。(偏角に\(\pm\)があるのはOBを回転してOAにすると考えることもできるからです)
これを式変形して証明する式にしますが証明する時に何となくすると上手くいかない事が多いです。
証明でこれをやる時があるから覚えておいた方がいい
証明で時々するのですが今ある式(①の事)と証明しないといけない式を見比べて違いを見つけて式変形します。
証明しないといけない式ですが「iがない」ですよね。
だから①の両辺を2乗してiを消すのですがこのまま2乗すると右辺にiが残ったままになるので右辺をiがついた式のみにします。
それではやってみせます。
①の右辺の\(cos\frac{π}{3}\)と\(sin\frac{π}{3}\)を数値にします。
すると\(β=α(\frac{1}{2}\pm\frac{\sqrt{3}}{2}i)\)となり右辺を\(\pm\frac{\sqrt{3}}{2}iα\)だけにします。
すると\(β-\frac{α}{2}=\pm\frac{\sqrt{3}}{2}iα\)となり右辺がiがついた式のみになりました。
両辺を2乗すると\((β-\frac{α}{2})^2=-\frac{3}{4}α^2\)となり左辺を展開します。
すると\(β^2-αβ+β^2+\frac{α^2}{4}=-\frac{3}{4}α^2\)となって式をまとめます。
すると\(α^2+β^2=αβ\)となり証明が完了します。
地方国立大学の採点のやり方って気になりませんか?
解答を説明しながら書いていますが国立大学の採点のやり方って気になりませんか?
旧帝大みたいな偏差値が凄く高い所は採点基準はありますが地方国立大学の場合は恐らくないです。
私は大学、大学院が地方国立大学ですが自分の指導教官から採点について聞いていて「ここまで教えていいの?」っていう位採点のやり方を教えてくれて引きました。
採点のやり方を知らない受験生がほとんどのはずなので記事にしています。
次はこの問題です。
複素数平面上で,互いに異なる3つの複素数\(z,z^2,z^3\)を表す点をそれぞれA,B,Cとする。
\(\angle CAB=\frac{π}{2},|z|=2\)が成り立つとき,zを求めよ。
例1みたいな問題は何となく解いても解ける時もありますが例2みたいな問題になると「問題の解き方をどういう時にするか」を意識しないと解けなくなるかもしれません。
複素数平面の問題で角度がある
複素数平面の問題で角度\(\frac{π}{2}\)があるので回転を考えます。
問題文から簡単な図を書くと↓になります。
ABを回転してACになると考えますがABとACの比率が分からないですよね。
だから回転をする時の式をこうします。
\(z^3-z=(z^2-z)k\{cos(\pm\frac{π}{2})+isin(\pm\frac{π}{2})\}\)・・・①(kがあるのはABとACの比率が分からないからです)
問題文にある情報は出来る限り式にする
①を式変形する前に問題文の条件を式にします。
問題文に「異なる3つの複素数\(z,z^2,z^3\)」とあるのでこれを式変形します。
すると\(z≠z^2,z^2≠z^3,z≠z^3\)となりこれを式にしますが3つともやり方が全く同じなので\(z≠z^2\)だけ式にするのを説明します。
「≠」の条件式はこうやるとやりやすくなる
「≠」で考えるとやりにくいので「=」でやります。
\(z=z^2\)を因数分解して\(z-z^2=0\)より\(z(1-z)=0\)となりこの式を解きます。
するとz=0,1となりますが「≠」の時の条件を考えるのでz≠0,1となります。
同じやり方で\(z^2≠z^3,z≠z^3\)の時の条件は
z≠0,\(\pm1\)となります。
それでは①を式変形して解きます。
\(z^3-z=(z^2-z)ki\)・・・②となってここからどうすればいいか分からなくなりますが勝手に置いた文字「k」があり式が1つしかないからこのままでは問題が解けません。
複素数平面ので「=ki」となったらうまくいく時がある
でも複素数平面ではkiの場合(iがある)時は問題が解ける時があります。
②をこう式変形してみます。
\(\frac{z^3-z}{z^2-z}=ki\)・・・②’としますが「ki」って何かを表していませんか?
そう純虚数を表していて例えばwが純虚数の時は\(w=-\bar{w}\)かつw≠0・・・③となりこの条件式を使います。(③は教科書にも載っているはずです)
(式=純虚数の形にして純虚数になるための条件を使って解くやり方は時々あるので覚えておいた方がいいです)
③のwにあたるのが②’の\(\frac{z^3-z}{z^2-z}\)です。
よって条件式は\(\frac{z^3-z}{z^2-z}=-\overline{\frac{z^3-z}{z^2-z}}\)かつ\(\frac{(z^3-z)}{(z^2-z)}≠0\)になります。
\(\frac{(z^3-z)}{(z^2-z)}≠0\)ですが問題文の「異なる3つの複素数\(z,z^2,z^3\)」から分かる条件z≠0,1より明らかに成り立つので考えなくていいです。
だから\(\frac{z^3-z}{z^2-z}=-\overline{\frac{z^3-z}{z^2-z}}\)・・・④からzを求めます。
複素数平面で絶対値がある時はこれをよく使う
求めたい物はzですが\(\bar{z}\)が邪魔なので消したいです。
問題文にある|z|=2をまだ使っていないのでこれを使いますが複素数平面で絶対値がある時は\(z\bar{z}=|z|^2\)をよく使う印象なので覚えておきましょう。
|z|=2の両辺を2乗して\(|z|^2=4\)
\(z\bar{z}=4\)となりこれは「=」の条件式になります。
「=」の条件式の使い方
「=」の条件式は1文字消去とやると大体うまくいきます(授業で大体と言ってるのに絶対と勘違いする生徒がいて文句を言われるのですが違います)
等式の条件式の使い方に関して記事を投稿していますので読めば理解が深まると思います。
話を戻して\(z\bar{z}=4\)より\(\bar{z}=\frac{4}{z}\)として④に代入しますがその前に④を式変形します。
④の両辺の分母と分子をくくって因数分解するとこうなります。
\(\frac{z(z-1)(z+1)}{z(z-1)}=-\overline{\frac{z(z-1)(z+1)}{z(z-1)}}\)
よって\(z+1=-\overline{z+1}\)となり右辺のバーを振り分けると\(z+1=-\bar{z}1-\) になります。
この式に\(\bar{z}=\frac{4}{z}\)を代入します。
すると\(z^2+2z+4=0\)になり解の公式を使ってzを求めると\(z=-1\pm\sqrt{3}i\)となります。
答えが条件を満たしていることをチェックしないといけない
これは条件z≠0,1を満たしています。(必ず満たしていることを確認しないといけません)
といったところですがこの手の問題は入試で出題されたら得点源になるので解き方を覚えれ損はないです。
説明を終わります。